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企画でこのせつSS第七十八弾

企画でこのせつSS第七十八弾です。

『毎土!このせつSSいかがですか?』

2月13日分です。
この日は確か、友人がうちにいました。
次の日とーほーのイベントがあったので←
ばれんたいんとかすっかり忘却の彼方です。


さて使用お題
『光』『ケース』『うさぎ』

SSは続きから。

朝起きると、カーテンの向こうがいつもよりも眩しかった。
しぱしぱする目をこすりながらそっとカーテンを開ける。
一気に光が差し込んできて、慌てて布団に潜り込んだ。

「なにしてるん?」

ぱっと布団がめくられて、くるりとした瞳と目が合った。

「あ」
「ん?」

慌てて布団を閉じる。
どうして、なんで、……ああ、そうだ。

お嬢様とアスナさんの部屋に泊まったんだ。

だんだんと頭がはっきりしてきて、ふとあることを思い出した。
さっと血の気が引いていくのがわかる。

「せっちゃん、朝やよ、二度寝するにはもう時間ないえー?」

ぽすぽすと、布団越しに背中を叩かれる。
けれど、私はそれどころではなかった。

見られた、みられたみられたみられた……っ

どくどくと心臓が脈打ち、布団を握り締める手は汗で濡れる。

「せっちゃん?」

声を出そうにも、掠れてでない。
そもそも、呼吸もできているのかわからない。

「大丈夫?」

ぽすぽすと、布団越しに背を撫でられる。

「体調悪い?」

ふるふると頭を振る。
頭のてっぺんは布団の外にでてたからか、その意思は彼女に伝わったようだった。

「……」
「……」

ただただ、無言の世界。

ぽんぽんっと、響くだけ。

「……もしかして、瞳のこと気にしてるん?」

息が止まった。

でも、ああ、やっぱり、とも思った。

ほっとした。

涙が、あふれた。

「あーもう、そんな泣いたらもっとうさぎに近くなるえー」

苦笑交じりの優しい声。
ぽんぽんという音がやんで、重みが体を包む。

彼女が布団越しに私を抱きしめているのだと気付くのに、しばらくかかった。
抱きしめられたまま、私は赤い瞳をさらに赤くさせた。

泣いたらうさぎになる、というのは昔からの彼女の癖だった。
誰が教えてくれたのかはわからないけど、彼女はよくそのフレーズを好んで使った。
つまり、それだけ私は昔からよく泣いていた。
うさぎうさぎといわれる度に、本来の瞳のことを言われているような気がして。
そして、怯えながら泣き止んでいたのを思い出した。

でも、今日は違った。
どこか、ほっとして、涙はますます流れていった。

涙も、嗚咽も止まる頃。
そろそろと布団が捲れていき、光が差し込んでくる。

硬く布団を握っていた手が、柔らかいものに包まれる。
今度はそれがすぐに、彼女の手だとわかった。

「そんなしてたら痛いやろ」

やわやわと、ゆっくり手を開いていく。
硬く結んでいたはずの手は、彼女によっていとも簡単に開かれた。

「なぁせっちゃん、こっち向いて」

おそるおそる顔をあげると、少し滲んだ彼女の笑みが迎えてくれた。

「はい」

差し出されたのはコンタクトケース。

「はよせんとアスナに見つかってしまうえ?」
「え、あ……」

ありがとうございます。

その一言は言わせてもらえないまま。
コンタクトケースを手に、台所へと向かう彼女の背をぼんやりと眺める。

「はよせっちゃんに戻らんと、朝ごはんうさぎさんのごはんになるえー?」

その言葉に、慌てて布団をはねのけた。

涙を流しすぎた瞳は、なかなかコンタクトがついてくれなくて。
鏡の向こうにいる自分と目が合った瞬間、ひとつの違和感。

泣いた理由を聞かれていない。

ただただ優しく、私を泣き止ませて起こして。
今、朝ごはんの準備をしてくれている。
かすかに、鼻歌も聞こえてくる。

彼女のことだから、気にしているはず。
気になって、しかたがないはず。

けれど、なにも言わない。

まるでおふざけのように、私を起き上がらせただけ。

そのことに気付いたとき、止まったはずの涙がまた零れ落ちた。




おしまい

情緒不安定なせっちゃんでした。
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コメント

 
せっちゃんの目のことはきっとこのちゃんは昔っから気づいていたんでしょうね
ブログ見に来てくださりありがとうございました

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