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このせつ『願い事』

クリスマス過ぎましたが、クリスマスネタ。
昨日ネギまSNSに上げてそこで安心して忘れてました。
こっちの存在危うい;




クリスマスネタ・このせつ

ということで続きからどうぞv













願い事








 今日の教室は、朝からいつもとは違う賑わいをみせていた。なにやらみなさんどこか楽しげで。それはお嬢様やアスナさんも同じだった。何か理由があるのかと、お嬢様に声をかけようとしたら、チャイムに邪魔をされた。諦めておとなしく自分の席につく。
 しばらくすると、がらり、と戸の開く音と、パンッパンッ、という大きな破裂音が響いた。火薬のにおいまで鼻についてきて、何事かと驚いていると、何人かが教室の入り口に集まっていく。
「メリークリスマス、ネギ先生!」
 クラッカーを持った鳴滝さんたちのその発言で少し納得。
 今まで気にしたことがなかったから気づかなかったけど、今日がクリス マスだったのか。
 一人で納得していると、ざわつくみなさんをいいんちょさんが宥めて、ようやくネギ先生が教卓の前にたどり着いていた。
「おはようございます、みなさん。そういえば今日はクリスマスでしたね。」
「えー、ネギ君忘れてたの?」
「ネギ君ってイギリス出身だから毎年やってたんじゃないの?」
「はい、そんなに大げさなものじゃないですけど、少しは。」
「へー、日本と全然違う?」
「日本のクリスマスがどういう風に行われているのかがよくわからないのでなんとも言えないのですが……。」
 ネギ先生のその言葉に、いったんは静まった教室が再び騒がしくなる。
「んー、騒ぐ!」
「クリスマスケーキとか鶏肉食べてる!」
「サンタさんからクリスマスプレゼントを貰う!」
「恋人と二人っきりで過ごすっていうのが結構強いかもねー。」
 朝倉さんの言葉にみなさんがうんうん、と頷いている。
 そうなのか、とネギ先生ではないけど、私も日本のクリスマスについて勉強させてもらった。

 そんな皆さんの話がおさまってきた頃、ネギ先生が再び口を開いた。
「イギリスでは、家族で集まってお祝いするのが普通ですね。ローストターキーやクリスマスプティングを用意して。あと、サンタクロースはファーザークリスマスって呼ばれてます。」
「やっぱり本場とはいろいろ違うんだねー。」
「サンタさんじゃないんだぁ。」
「そういえば、」
 ざわついていた教室が、ネギ先生のその言葉で、再び静かになった。
「日本ではクリスマスリストは作らないんですか?」
 クリスマスリスト?
 不思議に思ったのはクリスマスに疎い私だけではなかったらしく、他のクラスのみなさんも今度は別のざわつきを見せていた。
「あれ、クリスマスリストは日本にはないんですか?」
「なにそれ?」
「聞いたことないよー。」
「自分が欲しいクリスマスプレゼントをリストにするとか?」
「あ、それに近いですね。」
 まき絵さんの発言を、ネギ先生がひろう。
「クリスマスの前に、子供たちが神様へのお願い事を書き記したものをクリスマスリストというんです。子供の場合、ほしい物を書くことが多いんですけど。そうですね……日本だと、七夕の短冊に近いですかね。」
 初めて聞くことに、クラスのみんなが興味津々といった様子でネギ先生の話を大人しく聞いている。
 なんとなしに、ちらりと視線だけを後ろへ向ければ、お嬢様も目を輝かせていて。そんな様子に、思わずこちらまで頬が緩んでしまう。

「ね、みんなで書かない? クリスマスリスト!」
 椎名さんの発案に、わっと教室が沸く。
「いいね、おもしろそう。」
「リストってことはたくさん書いていいんだよね?」
「えー、書ききれるかなぁ。」
「あ、あの、みなさん、クリスマスリストの製作もいいんですけど、まずは授業ですよー!」
 ネギ先生の叫びもむなしく、騒ぎはおさまる様子はない。私も教科書を開くことなく、クリスマスリストのことだけが、頭の中を占領していった。





「せっちゃん。」
 放課後の教室、クリスマスリストのために配布された紙とにらめっこを続けていると、後ろから声をかけられて、振り向けば、お嬢様がシャーペンとその紙を手にしてすぐそばまで来ていた。集中しすぎていたせいか、まったくその気配に気づけなかった。
「なんでしょう、お嬢様。」
「書くこと決まった?」
「いえ。」
 苦笑して真っ白なままの紙をお嬢様にひらりと見せる。
「お嬢様は書けましたか?」
「ううん、うちもまだ。」
 差し出されたのは真っ白な紙。二人してくすくす笑う。
「なんでみんなすぐに書けるんかな。」
「どうしてでしょう。」
「アスナはうっかり魔法関係のこと書いて、みんなに見られんようにするのが大変みたいやし。」
「こ、この状況でそれはかなり無謀な気が……。」
 放課後にもかかわらず誰も帰っている人はおらず、何を書く、書いたの見せ合い状態。私もさっき釘宮さんに聞かれている。
「しかもな、」
「え、まだあるんですか?」
「ボールペンで書いてるんやえ?」
 アスナさんには申し訳ないが、笑いはこらえられなかった。お嬢様も一緒になって笑っている。
 賑やかであったかい、笑ってふざけあえるこの教室の中。なんだかそんな空間に居られる自分が、幸せで、信じられなくて。



「お嬢様、私書くこと決まりました。」
「え、ほんま? ええなぁ。やっぱ剣?」
「いえ。剣は願うよりも練習を重ねたほうがいいので。」
「あは、せっちゃんらしいなぁ。んー、ほな魔法?」
「いえ、それはここでは書けませんよ。」
 さっきアスナさんのこと、二人して笑ってしまったでしょう、と言えば、そうやった、とお嬢様は笑った。
「なら、なんなん?」
 可愛らしく小首をかしげて聞いてくる様子に、私の中のいたずら心がうずいて。
「内緒です。」
「へ?」
「内緒、です。」
 あっけにとられているお嬢様にもう一度繰り返す。しかし、お嬢様がこれで納得してくれるはずもなく、何度も何度もたずねてくる。それに私は笑って「内緒」という言葉を繰り返した。

 素直に、心から、この空間を楽しめている。本当は、護衛という立場からも、そんなことではいけないのだろう。いや、いけないのだ。でも、願わずにはいられない。



 神様、どうか、こんなあたたかな日々を、これからも。














FIN
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