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もう一作品。

せっちゃんの誕生日ということで。


ネギまSNSでゆなぎさんと合作のような感じで作ったもの。
ゆなぎさんが刹那視点。
私が木乃香視点で書いてます。

8巻と9巻の間。
伯爵との戦いの後設定となっております。


ゆなぎさんのところ。
http://15shinmeiryuu.blog73.fc2.com/blog-entry-178.html

合わせてどうぞ。




前編後編で書いていたものなので異様に長いです。
分けたほうがよかったかも。
ま、いっか。
それでは続きからどうぞ!





「せっちゃん、せっちゃん!」
できるかどうか不安だったけど、無事に魔法が発動してせっちゃんを助けだすことができた。
何度も名前を呼ぶと、ゆっくりとせっちゃんの瞼が上がっていく。
「お……お嬢様?……。」
「大丈夫やった?」
呼ばれて、とりあえず一安心。
「ん……確か……私……スライムにつかまって。」
「あぁ、それなら大丈夫やで。ほら、ネギ君が。」
せっちゃんの身体を支えて、ネギ君たちの方を指差す。
それを見て、少しは安心できたかな、なんて思ったけど、せっちゃんはすごく複雑そうな表情を浮かべていた。



次の日、ネギ君とコタ君が友達になったのを見届けた後、急にせっちゃんは倒れた。
額に手を当てればものすごい熱さを感じて。
アスナに手伝って貰って、せっちゃんの部屋まで運んだ。
さっきまで龍宮さんもいたけど、なにかの用事で、せっちゃんの看病をうちに託して出て行ってしまった。
龍宮さんの許可を得たので、うちは台所へ。

「ん……あれ、私は……」
朝食を作っていると、声が聞こえたから、急いで火を消してせっちゃんのもとへかけよる。
「あ、せっちゃん!目が覚めた?」
先ほどよりも顔色がいいことにほっとして、額に手をあてる。
うん、熱もだいぶ下がったみたい。

とりあえずせっちゃんには横になったままでいてもらって、うちは朝食作りに戻った。
ちょうど卵があるし、卵焼きにしようかな。
そんなことを考えていると、せっちゃんが起きてきた。
もう、ちゃんと寝とって、って言うたのに。
「私は……あの時……」
その言葉で、説明していなかったことを思い出して、卵焼きを作りながら説明させてもらう。
「ん? あの後せっちゃん倒れてしもうて。うち焦ったわ~。なんかものすごく熱もあってな、ほんまびっくりしたわ。でも、もう大丈夫そうやね。」
ちょうど出来上がった卵焼きをお皿に盛り付けて、せっちゃんに笑いかける。
けれどせっちゃんは、また何か難しいことを考えているようで、なんとも言いがたい表情を浮かべている。
「申し訳ありません!私が不甲斐ないばっかりに……お嬢様を危険な目に合わせてしまって!」
やっぱり。
口に出しては言わなかったけど、せっちゃんの考えていることは表情を見れば一目瞭然だった。
また、いろんなことをかたく考えている。
少しでも柔らかく考えてくれればいいのに、という願いを込めて口を開く。
「そんなん別にええよー。一緒にいてくれるだけで。それにうちも役に立てることわかったし……はい、朝ごはん。」
出来上がった朝食をテーブルに運び終わって、せっちゃんにも座るよう促す。
けれどまだ何か言いたいことがあるのか、座っても両手は膝の上。
「し、しかし! 毎回あのような甘い敵でうまくいくとも限りませんし……それにお嬢様をお守りするのは私の役目なんですから!」
「別にええって、うまくいったんやし。次もどうにかなるやろ、もぐ。」
味見のためにせっちゃんよりも先に、卵焼きをひとつ口にほうる。
うん、おいし。

「だいたいお嬢様は能天気すぎです!」
突然の大声に驚いてせっちゃんを見る。
あ、またあの表情。
「今回はうまくいっても次回うまくいくとも限りませんし、今回は特別です! あんなこと滅多にありません! 魔法がうまくいったのもたまたまでしょうし……。」
その言葉を放ったあと、せっちゃんははっとしたような顔をしたけど、さすがのうちも最後の一言にはカチンときて。
「なんでそんなに言うん? 今回うまくいったから、せっちゃんがそんなに悩む必要ないって言っとるんに! うちだって頑張ってるんよ! そんなに言うことあらへんやろ!」
気付いたら叫んでいた。視界もだんだん歪んでくる。
「うちだって力になりたいって頑張ってるんよ! みんなが頑張ってるの見ているだけはいやなんやから!」
頬に伝うものを感じて、これ以上せっちゃんを見ていられなくて、うちは部屋を飛び出した。

部屋の扉をバタンと音を立てて閉めて、それに背中を預ける。
「せっちゃんの、あほ……。」
扉の向こうにいる彼女に向かって、一言だけ、呟いた。



その日は結局せっちゃんに会わないまま、次の日の朝を迎えた。
「あ、あの、お嬢様……」
「このかー、まだー?」
ハルナのうちを呼ぶ声と、せっちゃんの声が同時にうちの耳に届いた。
昨日のこともあったし、少し悩んだあと、うちはハルナの元へ向かった。

昼休みは、あることについてずっと考えていた。
エヴァちゃんに言われたあの時から、ずっと考えていたことではある。
もう一度、自分できちんとお願いしようと考えていたこと。
これは、いい機会なのかもしれない。
「ほな、ちょっと行ってこよか~。」
ちょこっと気合を入れて、席を立った。

昼休みに無事、了承を得たので、放課後になったらすぐに荷物をまとめて席を立った。

そういえば、あれからせっちゃんと話せていない。
ううん、ええや……これで。
きゅっと鞄を握り締めて、目的地に急いだ。



あれから一週間が過ぎた。結局、せっちゃんとは話せないままでいる。
まぁ、それはうちのせいかもしれないのだけど。
短い休み時間は寝とるし、長い休み時間になると、教室を抜け出しているから。
授業中、せっちゃんが、ちらちらとこちらを見てきていたのは知っている。
でも、うちはなんの反応も見せなかった。
まだや、まだ、だめなんよ。

だから今日も、うちは放課後になるとすぐ、世界樹へ向かった。

せっちゃんに認めてもらえるように。
それまでは。

















せっちゃんに言われたことが頭を巡る。
『魔法がうまくいったのもたまたま』
そう、確かにせっちゃんの言うとおり。うちの魔法はまだまだで。ずっと杖を振っているけど、発動してくれない時のほうが多いかもしれない。
「プラクテ・ビギナル アールデスカット!」
「おい。」
「プラクテ・ビギナ……。」
「おい、近衛木乃香!」
「ひゃっ、……あ、エヴァちゃん。どないしたん?」
集中しすぎていたのか、エヴァちゃんの呼ぶ声が聞こえなかった。
エヴァちゃんの方を振り向けば、少し不機嫌そうな表情。それもそうか。うちのわがままに付き合ってくれてるんやから。
「そろそろ帰ったほうがいいんじゃないのか?」
表情とは反対の、うちを気遣ってくれる言葉に、目をみはると、エヴァちゃんははっとしたように言葉を続けた。
「お、お前に何かあったらぼーやや、神楽坂明日菜に何か言われるのはこの私なんだぞ?」
「あは、大丈夫や。今日は帰らんって、アスナに言うてきたから。」
「今日はって、お前……。」
「ほな、もうひと頑張りや!」
エヴァちゃんには申し訳ないけど、まだやめるわけにはいかない。
これだけじゃ、まだだめなんや。これだけじゃまだ……。

「はぁ、はぁ、プラクテ、ビギ、ナル……はぁ、はぁ。」
気付いたら、全身がずぶ濡れだった。見上げれば、青い空を覆う分厚い灰色の雲が泣いていた。
はっとしてエヴァちゃんの方を見れば、隣には傘をさした茶々丸さん。
それにほっとして、また杖を振る。
全身にまとう雨は、火照った体には気持ちが良かった。

「おい、いつまで続けるつもりだ?」
雨はやんでいた。空を覆っていた雲もどこかへ消えていて。
「あ、ごめんな。もう、朝やね……。でも、もうちょっと。」
「倒れるぞ?」
「大丈夫や。こんなことで倒れとったら、せっちゃんに……。」
せっちゃんの名前に、エヴァちゃんの眉がぴくりと動いた気がしたけど、エヴァちゃんは、好きにしろ、と言ったきり、また黙ってしまった。

だいぶん太陽が顔を出している。そろそろ切り上げんと、学校遅れるかな。
そう思った瞬間、目の前がぐにゃりと歪んで、足の力が抜けた。
あかん、ここで倒れたら……。
そう思っても、もう体は言うことを聞いてくれなかった。ゆっくりと、地面の冷たさが体に伝わってくる中、うちは何も考えられなくなった。


真っ暗闇の中、うちは一人で杖を振っていた。
何度も何度も。繰り返し。でも、納得できなかった。満足いかなかった。
これじゃ駄目。せっちゃんに追いつけない。
絶対に追いつくんや。迷惑かけないくらいに、力になれるくらいに、強く。今のままじゃだめや。みんなと、せっちゃんと、一緒にいるには、このままじゃ。
そう思って、杖を振り続けた。
すると、突然暖かさがうちの体をまとってきた。うちは知ってる、この暖かさ。ずっと傍にあった暖かさ。
暗闇が、だんだん明るくなっていく。
その空間から抜ける時、唇に、体にまとっている暖かさより、より暖かいものが触れた気がした。

「ん……。」
背中に、先ほど感じた地面の感触は感じられなかった。そのかわりに、夢の中で感じた、あの暖かさがある。
目を開けると、
「このちゃん……よかった……。」
せっちゃんがいた。
「私がここにいることが……不思議ですか?」
あぁ、やっぱりさっきのぬくもりはせっちゃんだったんや。じゃあ、あの最後の……。
とりあえず今はせっちゃんに伝えなければいけない言葉。
「全然不思議やない! ありがとな、せっちゃん!」
一週間ぶりのせっちゃんとの会話。けれど、そんなふうには感じられなかった。
しばらくの間言葉なく、お互い笑いあう。それだけで十分だった。
「お嬢様、少し、お付き合いをお願いできますか?」
断る理由なんてない。
「もちろんや。どこへでも行くえ。」
笑って答えれば、せっちゃんはうちを抱きかかえて、そのまま走り出した。
あ、と思い出して、せっちゃんの後ろにいたエヴァちゃんにお礼を述べる。エヴァちゃんはそのまま背を向けて、片手を挙げて帰っていった。明日にでも改めて御礼に行こう。


ついたところは、河原だった。せっちゃんの秘密の修行場所らしい。
その川の流れに目を向けていると、せっちゃんも川の流れに目を向けたまま、口を開いた。
「川は常に流れ続けるのです。ひたすらに。早くもなく遅くもなく。」
せっちゃんに向けていた視線を、また川に戻して目を閉じる。せっちゃんの声と、川の流れの声だけが耳に届く。
「ただ、流れているだけ。でも、それが川の仕事であり、川そのものなのです。」
せっちゃんの言いたいことがわかった。それは半分、うちが魔法の練習中にも学んだことで。
「ごめんな。うち、急ぎすぎてたわ。ついせっちゃんに言われたことに意地張ってた。」
目を開けて、まっすぐせっちゃんを見る。
「いきなりすごくなれるはずあらへんもんね。うちはうちに出来ることをすればいい。そういうことやろ?」
笑いかければ、せっちゃんは力強く頷いてくれた。
「はい。私も、強く言い過ぎました。すいません。」
差し出された右手をしっかり握る。
「それじゃ、早速朝ごはんや! 卵焼きも作るえ~!」
無理やりせっちゃんをひっぱって走り出せば、せっちゃんはどこか呆れた様子で。
「どうしたん?」
足を止めて顔を覗き込めば、顔を真っ赤に染め上げていた。
「い、いえ……なんでもないです! 早く行きましょう!」
今度はうちがひっぱっれるような形で、せっちゃんがかけだした。
「あ~ん、ずるいわ、せっちゃん。まってぇな~!」
追い越し追い抜かれながら、寮までの道を二人で走る。あれだけ魔法の練習をしたのに、体は軽かった。
やっぱりあれは……。
せっちゃんの隣を走りながら、横目でせっちゃんを見つつ、指でそっと自分の唇に触れる。
もうあのあたたかさは残ってないけど、うちは、あれはせっちゃんだって、なぜだか確信できた。だって、うちがせっちゃんのぬくもり、間違えるはずないもん。
でもせっちゃんに聞いても、きっと真っ赤になってはぐらかされる。だからせっちゃんから教えてくれた時、このお礼はちゃんとしよう。
うちを迎えに来てくれたお礼は、まず卵焼きで。
見上げた空は、綺麗な青色が広がっていた。






おしまい
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