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『また明日』このせつss

久々にこのせつで書いてみました。
書き方忘れてる感じがしないこともない。

膨大な量の課題の息抜きです;


設定は修学旅行前。
けっこう寸前な。
一週間前くらい、とでもしておきましょうか。

ちなみに暗めな感じです。


それでも読んでくださる方は、続きからお願いします。






『また明日』









風が、私をよけるように通り過ぎた。
仕事帰りの体には心地いい。
なんとなしにそれを目で追って、振り返るとそこにあるのは大きな、満開の桜の樹。

風と桜の触れ合う音が耳に届く。

そんな中でかすかに幼い声が響くのは、おそらく幻聴。

いや、幻聴なんかじゃない。
遠い昔のもの。

忘れたくても忘れられない。
遠い昔の、楽しかった日々のもの。

一緒に笑って一緒に泣いた、そんな日々のもの。


でも、ひとつだけ。

一緒じゃないものがあった。










『せっちゃん、また明日な』

これが彼女との最後の会話らしい会話。

この頃には、そんなに頻繁に会いに来ることができなくなっていたため、いつも彼女にそう言われると、謝罪の言葉と同時に、次にいつ来るかを教えていた。

でも、この日は彼女に会える最後の日。

それを彼女は知らなくて。

だから彼女はいつものように、笑顔で私に言ったのだ。

また、明日。

その言葉に、笑顔に、私は何も返せず、走って帰った。



帰って、夜。
布団の中で湧くものは、なにも言わずに別れてしまったことの後悔。

寝てしまおうと思っても、眠れない。

部屋を抜け出して、彼女のもとへ。



お屋敷に近づくにつれて、聞こえてきたのは大きな泣き声。

彼女のもの。

でも、今まで聞いたことのない、悲痛なそれ。

何かあった……?

心配になり、急ごうと扉に手をかけた瞬間、

「嘘や!明日からせっちゃんに会えんなんて嘘や!」

出てきた自分の名前に、その内容に、手が止まった。

「約束したもん! うち、また明日って、せっちゃんと約束したもん!」

約束。

その言葉が、私に突き刺さった。

扉にそえた手がだらりと落ちる。

くるりと、お屋敷に、彼女に、背を向けて走った。

風に流される水滴。

苦しい。

水滴の正体とか、苦しさの原因とか。

そんなものは全然気にならなくて。

歪む視界のせいで、何度も転んだけど、すぐに立ち上がって、走った。




たどり着いたのは、大きな樹。

倒れるようにその樹にしがみついて、大声で、泣いた。

『また明日』と言われたとき、私は彼女に言わなくてはならなかった。

だから彼女は思ったんだ。

明日も会えるって。

だから、約束した、って。


彼女に会うことをやめようと決めたあの日に、涙は全部なくなってしまったと思ったのに。

まだ、こんなにも涙はでてくる。

ただただ泣いた。

大きな声で。

ここなら、誰にも聞かれないから。

「約束、守れんでごめん、このちゃん」

何度もそう謝って、泣いた。











「刹那」

龍宮の声ではっと我にかえる。

「どうした、いくぞ」

「……ああ」

うながされて、龍宮の後ろを追う。

どうして今、あの日のことを思い出したかはわからない。
けど、もう一度その樹を振り返る。


うっすらと、そこで泣く、幼いころの自分が見えた気がした。



『また明日』

その約束は果たされなかった。

もし、明日がまだ有効であっても、私にはもうその約束は果たせそうにない。

ごめんな、このちゃん。
















―――――――――――――――――――
明日って、けっこう曖昧な言葉だなって思ったので。
にしても暗い……
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