スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『箱の中』このせつSS

5月の2度目の更新です。
すみません;

この前23巻予約しました。
発売日が8月だから、地元でするか、一人暮らししてる地域で予約するか悩んでたんです。




今回の更新はこのせつSS-!

ほのぼのな感じで。
ほのぼの、というか日常?

読んでいただける方は続きからお願いします。



『箱の中』







衣替えも兼ねて押入れの片づけをしていたら、それはころん、と足もとに転がった。
手にとって見ると、少し日に焼けて汚れている小さな箱。
見覚えがあるような、ないような。

「うーん……。」
「どうしたの、木乃香?」

隣で自分のものを整理していた明日菜が、手の止まったうちを不審に思って声をかけてきた。
いつも先に手を止めるのは明日菜で、声をかけるのはうち。
だから変な感じ。

「これ、何か明日菜わかる?」

明日菜に差し出せば、明日菜も首をかしげて。

「んー……わかんない。木乃香のじゃないの?」
「なんか見たことあるよーな、ないよーな……。」

返された箱をもう一度眺めつつ、首をかしげて。
振ってみても、かさかさと音がするだけ。

「開けてみればいいんじゃない?」
「そか。」

言われてみればそうだ。
うちと明日菜の部屋だし、開けても問題はない。
あ、今はネギくんの部屋でもあるか。
でもネギくん、押入れは使わんからな。

なら、いっか。


そう思って箱の開け口に指をかけると、控え目なノックの音が二つ。


「これは、刹那さん、かな?」
「うん、やろね。うちが出るわ。」
「お願い。」

箱をテーブルの上に置いて、玄関へ。


開けると思ったとおり、せっちゃんがいた。


「いらっしゃい、せっちゃん」
「おじゃまします」

せっちゃんも来たことだし、明日菜も片付けの手を止めた。
お茶とお菓子を用意して、小休憩。

「刹那さんもう終わったの?」
「はい、そんなに持っている服もありませんし。」
「せっちゃん制服ばっかやもんな。」
「動きやすいんですよ。」


昨日、今日はみんなして衣替えをしようという話になった。
だから、たぶん他のクラスメートも、みんな衣替え中。
せっちゃんには終わったら一緒にお茶でもしようと伝えていたから、終わらせてすぐに来てくれたのだと思う。

「それにしてもすみません、作業の手を止めさせてしまったみたいで。」
「ええんよ。それに、明日菜の集中力も切れかけとったし。」

そう言ったら明日菜にあんたもでしょ、と突っ込みを入れられてしまった。
それにせっちゃんも笑った。

ふと、さっきの箱の存在を思い出した。

「そや、明日菜、さっきの箱。」
「あぁ、これ?」

明日菜が取ってくれた箱を受け取り、せっちゃんに見せる。

「せっちゃん、これ、見たことある?」
「箱、ですか。ちょっと、わかりませんね。」
「うん。明日菜は見たことない言うし、うちは……見たことあるような、ないような、そんな感じなんよ。」
「それなら、それはお嬢様のものなのでは?」
「やっぱそうなんかなぁ。」
「もう開けてみれば?」

明日菜も気になるのか、明日菜にこの箱を指さされた。
うちのも含めた三人の視線が箱にそそがれる。

「そや、ね……。」

箱の開け口に指を置いて、きゅっと力をこめて開ける。

「しんぶん、し?」

箱の中にはくしゃくしゃになった新聞紙。
その新聞紙も、箱と同じように少し色褪せている。

「新聞紙? だけ?」

明日菜に言われて、箱の中の新聞紙を取り除いていく。

と、指に固いものが当たった。

「なんか、中に入っとる」

カサカサと包みをほどく。

カランッ……。

綺麗な音がした。

「鈴?」
「ううん、風鈴みたい。」

紐をつまんで、箱から取り出す。
丸くて透明なガラスに、真っ赤な金魚が描かれている。
紐を揺らせば、チリン……っときれいな音をだす。

「これは……」

あっ、というようにせっちゃんが声をあげた。

「刹那さん知ってるの?」
「せっちゃん知ってるん?」

明日菜とほぼ同時に聞けば、せっちゃんは少しどもったけれどすぐに続けた。

「京都のご実家の、お嬢様の部屋にいつもかかっていたものじゃないですか?」
「へ?」

もう一度、風鈴を掲げて見て、しばらく目を閉じる。

瞼の裏に浮かぶのは、京都の家。
自分の部屋。
薄い布団がかけらた、幼いころのうち。
……と、せっちゃん。
窓枠の上では、心地の良い風に吹かれて、真っ赤な金魚の描かれたガラス玉がきれいな音を出しながら揺れている。


「思い、出されましたか?」
「うん。」

「どうして持ち主のあんたが忘れてて、刹那さんが覚えてるのよ。」

呆れたような明日菜の顔。
なにも言い返せないので、とりあえず苦笑い。

「でも、よう覚えとったなぁ、せっちゃん。」
「見るまでは私も忘れてましたよ。」

少しなつかしそうな目で、それを眺めながら言った。

「そだ、このか、それ貸して。」

言われるがまま風鈴を明日菜にさしだすと、受け取ってそのまま窓のほうへ。

チリン……

「よし、こんなもんかな。」

明日菜がもどってくると、窓のところに風鈴が。

「これからの季節だし、ちょうどよかったんじゃない?」

そう言って笑う明日菜に、うちもせっちゃんも笑った。

「そやね、ずっと箱の中に入れられてるよりも、そっちのほうがええやろね。」

カーテンが揺れると共に、リン、と綺麗な音が響く。

今年の夏は、少し涼しくなりそう。

昔みたいに、お昼寝できたらええな。





おしまい
スポンサーサイト

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © 鏡の世界 All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。