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企画でこのせつSS第十一弾

企画でこのせつSS第十一弾です。

『毎土!このせつSSはいかがですか?』


今回から自由参加ですね。
でも私のカウントは11回目。
自分が参加した回数をカウントしていくことにしました。
できれば、全部クリアしたいです。
なぜなら好きだから!
書くこともこのせつもね。




さて今回のお題
『アイス』『扇風機』『浴衣』

真夏っぽいお題だけど、設定は8月終わりにしてみました。
ちょうど今くらい、かな。


SSは続きからどうぞです。


『夏の終わりの涼み方』







開けている窓から、涼しい風とコロコロ鳴き声が入ってくる。

昼間うるさいくらい鳴いていたセミは、いつのまにかコオロギにバトンタッチしていた。
少し前まで、この時間でもまだセミが鳴いていたと思うのは気のせいだろうか。
いつ、この時間帯をセミはコオロギに明け渡したのだろう。

まだ8月で暑さも残るけど、夕方から少し過ごしやすくなってきている。
窓を開けていれば、熱気ではなく涼しい風が入るようになった。
これが彼らのタイミングなのだろうか。



ぼんやりそんなことを考えていたら、後ろからボァーっという音と風が。
振り返ると、先ほど私が消した扇風機のスイッチをお嬢様が押していた。

「そんなに暑いですか?」
「せっちゃんは暑くないん?」
「ええ。浴衣ですから帯の部分は多少は暑く感じますが」

扇風機の風が必要なほどではありませんと続ければ、少し頬を膨らませて、扇風機のスイッチを切って、私の隣に座る。

もう夏も終わりで浴衣を着る機会もないから、いつもと違う涼しさを求めて浴衣に着替えた。
その言いだしっぺはお嬢様だけど、着替えてみたらけっこう涼しくて。
それで扇風機のスイッチを切ったのだけれど。

「お嬢様が暑ければ、つけていてもかまいませんよ」
「ええの」

お嬢様はつんとした表情をして、投げだされていたうちわを手に取ると、ぱたぱたあおぎ始めた。

その姿が少し幼く見えて可愛らしい。
でも、ご機嫌がななめのままというのは、彼女にとっても私にとってもあまりよろしくない。
このまま扇風機をつけても、意地になっているお嬢様のことだからそのまま切ってしまうだろう。

どうにか他の方法で涼しくなってもらおうか考えて、ふとあることを思い出した。

そっと立ち上がって、台所へ。

お嬢様はちらりと視線だけをこちらに向けただけで、何も言わない。
その様子に、お嬢様にはわからないくらいの小さく笑いがこぼれた。




目当ての物を2つ手に持って、こっそりお嬢様の背後に回る。

そしてゆっくりと……。


「ひゃぁっ!」

思った以上の声に、こちらも驚いてしまった。

振り向いた表情には少し恨めしさが見えた。
何か言われる前に、首筋にあてたそれを目の前に掲げる。

「あいす?」
「はい」

ひとつ渡して、お嬢様の隣に座る。
バリッと音をたててひとくちぱくり。
うん、やっぱり少し寒い。

「どうしたん、これ?」
「アイスクリームです」
「それは知っとる!もう、なんでアイスなん?」
「涼しくなるかと思いまして」

そう答えて、もうひとくち。

「食べないと溶けますよ?」

涼しくなっているとは言っても、アイスが溶けないほどではない。

「食べてもええの?」
「はい、どうせ龍宮のですから」
「そうな……それはあかんやろ!」

お嬢様のつっこみに、思わず吹き出してしまった。

「な、なんで笑うんよー」
「すみません。あ、食べて大丈夫ですよ。龍宮はしばらく実家ですから」
「ならあとで買ってもどしとくな」

そこまでしなくても、と思ったけどそれはあえて口にせず。
お嬢様はおずおずと袋からアイスを出して、ひとくちぱくり。

「んー、冷たい」

笑顔が咲いたのが確認できて、ほっとしてもうひとくちぱくり。

「涼めてますか?」
「うん、せっちゃん、ありがとな」
「いえ」

嬉しそうにアイスクリームを頬張るお嬢様を眺めて、私もまたアイスにぱくついた。




「やっぱり、寒いかも……」

食べ終わって、まったりとしている最中。
呟かれたその一言に、今度はこらえきれなくて、思いきり笑った。




おしまい
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