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企画でこのせつSS第十四弾

企画でこのせつSS第十四弾です。

『毎土!このせつSSいかがですか?』


今回は一日遅れの参加ということで;
書き途中のメモ帳見たら、後半しか書いてなかったので、四苦八苦しながらも前半作成。

母が持たせてくれた手作りお寿司食べて頑張りました!
実家に帰ったらなにかしら持たせてくれるけど、やっぱり手作り料理が一番うれしい……。
それに、郷土料理ということもあってか、じんわりきました。
やっぱ生まれた時からずっと食べてるものと味が一番いいです。

そして明日から自分が作ったのを食べないといけないかと思うと、ちょっとがっくりです;




さて今回のお題
『残暑』『赤とんぼ』『夕日』

明確な表記があるのは赤とんぼだけになってしまいました。
あとは別な言葉で表現したつもりです。。。



SSは続きからどうぞ。

『どことまる?』






放課後、教室の戸締りを確認していくせっちゃんの背中を、彼女の席に座って目で追う。
ひとつひとつ丁寧に、きちんと鍵が閉まっているかどうかを、鍵を触って、窓を触って確認している。
うちやアスナやったら、開いてる窓の鍵をかけて、閉まってる窓の鍵は、見ただけで終わらすのに。
真面目な彼女らしいと言ってしまえばそうかもしれないけど、ちょっと長い間待たされている立場からすれば、もう少し手を抜いてもいいんじゃないかって思ってしまう。
授業が終わった時にはまだ青かった空は、だんだん赤く染まってきているし、夏休み明けとはいえ、まだ暑く、少し汗ばむ。
はやく寮に戻りたい。

残るはいち、にい、さん……三枚か。
と、三枚目を数えたところで、開いたままだった三枚目の窓から、すいっと何かが入ってくるのが見えた。

その何かを目で追っていくと、それは天井の電灯にとまった。
よく授業中にセミが何度か入ってきたことがあるから、今回もそうだと思ったけれど、セミにしては線が細い。
立ち上がって目をじっとこらして見て、すぐに窓を閉めているせっちゃんに叫んだ。

「せっちゃん、あかん!」
「え?」

窓から教室への侵入者からせっちゃんに視線を移すと、さっきまであれだけ時間をかけて確認していたのに、すでに最後の一枚の窓を閉めようとしている。

「あれ」

うちが指さした方向にせっちゃんも視線を移して、それがなにかに気付くと、もうすでに戸締りを確認した窓を一枚一枚開けていく。
教室の窓を全部ほどよく開けると、うちの隣に並んでじっとして動かない侵入者を見上げる。

「……動きませんね」
「動かんね」

じっとして動かない。
立ってるのも疲れたから、もう一度席に座る。
ちらりと隣を見ると、彼女も侵入者と同じように動かない。

窓の外の空は、ほとんど赤く染まっていっている。

「まさか、ここに泊まる気やないやろか」
「どうでしょうか」
「だって、もう暗くなるえ?」
「ですね……私たちも泊まることになるかもしれませんね」
「なんで?!」
「彼に帰ってもらわないと、戸締りできないじゃないですか。戸締りしないと私たちも帰れません」
「……うちは日直やない」
「でもお嬢様は今日は私と一緒に帰る約束をしてますから」

じっと動かない侵入者から目をそらすことなく言うせっちゃんに抗議の声をあげたら、冗談ですよ、と軽く笑われてしまった。
もう、とふくれたら、少しまだ笑いながらすみません、と謝られた。

最近、せっちゃんは冗談をうちに言うようになった。
昔はよく、うちがせっちゃんに冗談を言っては困らせていたのに。
いつのまにか逆転されている。
それがどこかくやしくて、なにか反撃をしようと考えるけど、なかなかいい冗談は浮かばない。

「お嬢様?」
「ん?」
「捕まえて逃がしましょうか?」
「何を?」
「え、とんぼですけど……」

と、いまだ電灯に居座っている侵入者を指さす。
ああ、すっかり、

「忘れてましたね?」
「そ、そんなことあらへん」

何考えてたんですか、と聞かれたけど正直に言えるわけもないので適当に流して話題をもとに戻す。

「あのとんぼにははよ帰ってもらわんと、うちらが帰れんしなー。でもせっちゃん」
「なんですか?」
「背、とどくん?」

せっちゃんからの返事はなくれて、視線もうちからそらした。

「なぁ、せっちゃん」
「と、……とどきます」
「ちなみにせっちゃんより背の高いうちは、机に上ってもとどかんかったえ?」

以前、教室の電灯を変えようとしてとどかず、アスナに頼んだことがあった。
あの時はまだせっちゃんとこんなにもしゃべれんかったから、知らんのやろうけど。

「っ……1cmじゃないですか」
「1cmでも、せっちゃんより高いうちはとどかんかったんよ?」
「うぅ……」

じっと、電灯の上の侵入者であるとんぼを、恨めしげに見つめるせっちゃん。
そういえば、せっちゃんは身長の話になると、いつも少し不機嫌というか、すねてしまう。
どうもうちより背が低いのが少し気になるらしい。
そんなことですねるせっちゃんが可愛くて、身長の話がでると、ついせっちゃんをつついてしまう。

「どうにかしたらとどきます!」
「いや、無理やて」
「や、やってみないとわからないじゃないですか」
「じゃあやってみ?」

どうぞ、と天井のとんぼを指さすと、せっちゃんはじっととんぼを見つめて、……じゃんぷ?

「あ、ずる……」
「とどきましたよ?」

着地した後、器用にとんぼの羽をつまんで得意げに笑う。
ちょっと悔しい。

「は、はよ逃がしたり」
「はい」

開けた窓から手をだして離したら、よたよたと、赤い空を飛んで行った。
飛んでいくとんぼを見つめるせっちゃんの隣に立って、うちも飛んでくとんぼを見つめた。

「あれ、赤とんぼやったね」
「ええ、ちょうど、今の空の色みたいでした」
「どこいくんやろ」
「さぁ、どこでしょう」
「薄情やなぁ、追い出しといて」
「でも、そうでもしないと帰れませんよ?」
「そうやけど……」
「さてと、戸締りしますから、もう少し待っててください」

閉めて開けた窓を、もう一度閉めて鍵をかけていく。
また、ひとつひとつ丁寧に。
待ってたら、完全に日が落ちてしまう。

「いいですよ、私がやりますから」
「せっちゃんの待っとったら、夜が明けるわ」
「どういう意味ですか?」
「そういう意味ー」

がちゃがちゃと、閉めて鍵をかける。
せっちゃんみたいにわざわざ確認はしない。

全部閉めおわって、もう一度、赤とんぼが飛んで行った赤い空をもう一度見上げる。

「せっちゃん」
「なんですか?」
「せっちゃんは、もし追い出されたらどこ泊まる?」
「え、寮追い出されるんですか?」
「もしもの話。そんなことせんとは思うけど、龍宮さんに追い出されたらどこ泊まる?」

ちょっとした、素朴な疑問。
それなのに、せっちゃんはやけに真剣に考え始めてしまった。
最近は冗談を言うようになったから、この質問にも冗談で答えてくれるかと思ったのに。
やっぱり、せっちゃんはせっちゃんや。

小さく笑ったら、せっちゃんと目があった。

「あ、あの、」
「ん?」
「お嬢様さえよければ、お嬢様のところに……」

ちょっとほっぺを赤くして、目を泳がせながら小さな声で、そう言った。
うちの了承以外にも、ネギくんとアスナの了承もいるやろ、といういじわるな考えが浮かんだけど、あまりにもせっちゃんが可愛かったから、その言葉は直前で呑み込んだ。

「ええよ」
「ほ、ほんとうですか?」
「うん、もちろんや。そのかわり、うちが追い出された時はせっちゃんとこ泊めてな?」
「は、はい!」

嬉しそうに了承されて、ついうちの頬も緩む。
でも、なんだかそんな顔を見られるのは恥ずかしくて、鞄を取りに行きながら、最近アスナとネギくん仲ええからほんまに追い出されかねんわー、と言ったら、せっちゃんはひどく驚いた様子。
冗談、と続けたら軽く怒られてしまった。

「ま、追い出されんでも泊まるくらいやったらいつでも来てええよ」
「え?」
「でも、うちらの部屋にはもう余分のお布団ないから、うちの布団で一緒に寝ることになるなー」

案の定、せっちゃんの顔は、赤とんぼよりも、赤く染まった空よりも、真っ赤になった。





おしまい。
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