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企画でこのせつSS第三十九弾

企画でこのせつSS第三十九弾です。

『毎土!このせつSSいかがですか?』

春休みがあともう少ししかないことに気付き、ちょっとしょんぼり。
でも楽しみが大きいですかね。
そんなもう残りわずかな春休みは実家で過ごすことになりました。
今回はパソ持参で帰るよ、うん。

あ、そうそう毎土。
今回の必死で考えました、時間的な意味で。
間に合わないかと思いました。
できあがってみたら、なんだかシリアス風な感じに。
歪んでないシリアスとか久しぶりじゃないかな←

ほんと、今まで何も考えずに考えてましたねー毎土お題。
次回のお題で、私の当番はおしまいとなります。
次々回からはまたさっちゃんさんにお願いいたしました。



さて今回のお題
「空耳」「願掛け」「裏返し」

SSは続きから。
最後に次回お題となっております。









学園にたくさんある広場のひとつで、ぼんやりと時計を見上げ続けた。
今にも降り出しそうな、どんよりとした天気のせいかあたりに人はいない。
だから、ぼにんやりとしていても咎める人や気にする人もいない。
何をするわけでもなく、ぼんやりとゆっくり進む針を眺め続けた。
ベンチに座って、目の前にある時計とにらめっこを始めて、その針は何周しただろう。

これは一種の賭け……ううん、願掛けのようなものなのかもしれない。

彼女にこの想いを伝えるか、伝えないかを決めるための。




伝えたいと思ったのはずいぶん前。
でも、いろんなことを難しく考えすぎて、決心がなかなかつかずにいた。
自分はもう少し楽天的かと思っていたけど、意外とそうでもないみたい。
彼女のことをもうそんな風に言えないな、なんて思って小さな笑みがこぼれる。

考えても考えても、同じところをぐるぐるまわって結論がでてこない。
出てくるのは新しい悩みの種ばかり。

だったら、考えることをやめればいい。
自分は占い研の部長なのだ。
だったら、それらしい行動をとればいい。

それにはっとしたのは昨日の夜、ベッドの中で。
思いついたとかではなくて、はっきりと聞こえたのだ。
空耳だろうけど、それはなんだか勇気をくれた。

今まで同じところをぐるぐるしていた頭が、急にすっきりはっきりしていくのがわかった。
胸のつっかえがとれた感じ。
おかげで今朝の目覚めはとてもよかった。
よすぎて、まだアスナがバイトから帰ってくる前に目覚めてしまったのだけれど。
でも、おかげですぐに行動することができた。

眠気のとれた、すっきりとした頭でベッドから飛び出し、カーテンを少しだけ開けて外を覗く。
まだ暗いけど、天気予報の言っていたとおり、どんよりしているみたい。
それを確認したら、できるだけあたたかい格好に着替えた。
いつものように凝ったものはできないから、軽い朝食を用意して、自分もそれをつまむ。
そのまますぐに机に向かい、小さなメモ帳に短い手紙を残した。
それを裏返して、あの子宛とわかるように印を残す。

それを机の、よく目立つところに置いて、まだ気持ちよさそうに眠るネギくんを起こさないよう、そっと部屋を抜け出した。





なにか食べるものも持ってくればよかった、なんてお腹が起こす小さな抗議を聞きながら思う。
お昼はもうとっくに過ぎている。
どんよりした空は、そのどんよりさをますます増していくばかり。
時間切れの合図はまだない。

ただ、目の前の時計の針がゆっくりゆっくり回るだけ。


急に、低い音が辺りに響く。
お腹の抗議かと思ったけど、違うみたい。

「そろそろ時間切れ、かな」

笑ってみるけど、うまく笑えてないって自分でもわかった。

やっぱり、神様は許してくれんのや……。

込上げてくるものに、目を閉じずにはいられなかった。


「諦めるの、はやすぎ、です……ちゃんと、……間にあい、ましたよ」

時間切れの合図はまだのはずなのに、頬が濡れた。
ゆっくり目を開くと、肩で大きく息をする、彼女の姿があった。

「ご自分で時間切れの合図、出すことないじゃないですか」

苦笑しながらそっと彼女の指が頬に触れて、濡れたところを拭う。
呆れたような、でも安心したような瞳にとらえられた。

「すみません、遅くなりました」

その言葉にふるふると首を振ると、優しく微笑まれる。

「この学園の広さに、こんなに焦らされたのは初めてですよ」
「ん、ごめん」


『公園にいるから、雨が降るまでに、見つけて』
彼女に宛てた、一行の手紙。

これがうちの願掛け。
空はどんよりしていて、いつ雨が降り出してもおかしくない天気。
この広い麻帆良学園の中には、公園やそれに近い広場は山ほどある。
そんな状況で、この願掛けは厳しいものがあったかもしれない。

でも、それくらいしないと、駄目な気がしたからあえて選んだ。

「それで、どうしたんですか?」
「え?」
「なにかあってのことでしょう?」

額に玉のような汗を浮かべ、まだ整わない息をつきながら微笑む。
願掛けとか言って、結局彼女を試しただけの気がする。

それに気づいて、申し訳ない気持ちが急激に膨らんでいく。

「うち……うちな、せっちゃんのこと、めっちゃ好きなんよ」

少し慌てたように、せっちゃんはどもっていた。
たぶん、うちの『好き』は違う形で伝わっているんだろうなってどこか別のところで考える。

「でも、あかんなー」
「え?」
「せっちゃんに迷惑かけてるだけやん」

そんなうちが、せっちゃんにあんなこと、伝えられるはずがない。
かける迷惑が大きくなるだけ。

「ごめんな、せっちゃん」
「……」
「ほんまごめ」
「だめです」

言葉を遮られて、はっとして前を向くと、真剣なせっちゃんの顔。
どきりと、胸がなった気がした。

「私は、謝ってもらうためにお嬢様を探したわけではありませんから」

真剣な顔でそこまで言うと、大きく息をついてまた、あの優しい笑みを浮かべて言った。

「お嬢様が本当に言いたいことを言ってください。何を言われても、私は大丈夫ですから」

その頬笑みを見ていると、腕の震えが止まった。
がちがちになっていた肩の力も抜けていく。
かっとなっていた頭も、すっとしていく。
身体も心も、軽くなった気がした。

うん、今なら言える、うちの想い。

ありがとう、神様。

伝える勇気ときっかけをくれて。



心の中でお礼と言って、まっすぐにせっちゃんの瞳をみつめて、ゆっくりと想いを口にした。




おしまい



せっちゃんは護衛解雇的なことをを伝えられると勘違いしてたという裏設定。
腕を試されてるとの勘違いです。
鈍感王ですからねー、せっちゃんは(自分の中で。

お嬢様が何を言ったかは、みなさまのご想像にお任せします。



さて次回お題です。

「桜」

桜だけっていうお題をいつか出してみたくて。
タイミングはここかなーと思いましてやってみました。
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