スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

りべんじー

前回の桜ネタがあまりにも暗いってか切なかったので、ほのぼのでリベンジ。
いや、ただ書きたかっただけです。

前回のでちょっと注意書き忘れたんですが、あれは修学旅行前です。

今回は幼少時代で。
一番書きやすいかもしれない、幼少時代w
ぽんぽん妄想が浮かぶのがこの時期です。
次が修学旅行前。
けっこうせっちゃんの独白ばっかりですけど。
一番浮かばないのが、修学旅行の後ですね。
なぜだかは知りません。


SSは続きからどうぞ。









やわらかな手を引いて、時々声をかけながら足場の悪い道を進んでいく。
普段お屋敷からでない彼女には、やっぱりつらかっただろうか。
なんて、うっすら汗をかいて必死についてきてくれる様子を見ながら思う。

「ん? どないしたん?」

ばちっと目があって、つらそうながらも笑顔を向けてくれる。
何も言えなくて、ふるふる首を振って前を向く。

「もう少しやから、がんばって」

目を見て言えない代わりに、繋いだ手をきゅっと強く握った。

もう少し、もう少し。


草木が生い茂る道。
でも、小さな、人ひとり進める道がすっと通っている。

昨日、自分が通った跡。


それをひたすらたどっていく。

昨日は一人で心細かったけれど、今日は違うと、繋がれた手のぬくもりが教えてくれる。




「もう少しやから……」
「せっちゃん、さっきからそればっか」
「あ、ごめん、ほんと、もう少しやから……」
「うん、わかっとるよ。ほら、いこ」

きっとうちより疲れてるはずなのに、笑顔ではやくはやく、とせかしてくれる。
ごしごしと、額を流れる汗を道着の裾で拭って彼女の言うとおり前を向いた。




もう少し、もう……。


緑と茶色の世界が終わり、急に広がる別の世界。

着いた!


「このちゃん!」

振りかえると、このちゃんは下を向いて息を整えていた。
それを待って、自分より前に行かせて、上を向くよう促す。

「はぁー……」

目をきらきらさせて、ぽかんと口を開けて眺める様子に、心が満たされていく。

「これ、昨日見つけて。どうしてもこのちゃんに見せたくて。それで、長に頼んでこのちゃんを連れてこさせてもらったんよ」

あがる息をそのままに、一気にまくしあげたてる。
いつもならくすくす笑われるけど、今はそれどころではないみたい。

ぽかんと口を開けて、上の光景――満開の桜に魅入っていた。


「すごい、なぁ……」
「そうやろ」

いつもこのちゃんがやるように、ちょっと自慢げに。
そんなうちを、やっぱりこのちゃんは笑わなくて。
きゅっと強く手を握るだけ。

「なぁ、木の下から見上げてもきれいやと思わん?」

きらきらした瞳に誘われるまま、手を引いて満開に咲く桜の下へ。
歩き疲れたのもあって、少し考えて樹の根に並んで腰かける。
二人でタイミングを合わせて見上げて、……息を呑んだ。





「あ、このちゃ……」

慌てて自分のあいた方の手で自分の口を塞ぐ。

ずっと桜を見上げていたから気付かなかったけど、肩にちょこっと頭をかけて、すやすや気持ちよさそうに眠っていた。
慣れない山道で、きっと疲れたに違いない。

でもこんなところで寝てたら風邪をひいてしまう。
暖かくなってきたとはいっても、まだまだ冷える。

おんぶして帰ろう。

そう思って、手を立ち上がろうとしたけど、立ち上がれない。
見ると、繋がれた手がそのままに。
手を離そうとしても、なかなか離れない。

困った……。
なぜか、困ってるのに笑顔になってしまう。

彼女の髪についた花びらをそっとはらってあげて、また隣に。

もう少し。
もう少し見上げていよう。
彼女が起きるまで。

もう一度、彼女とこの光景を眺めて帰ろう。




おしまい
スポンサーサイト

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © 鏡の世界 All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。